2020年 - VECサロン

世界の景気動向

◎IMF発表の世界の景気動向

新型コロナショックで世界の経済ダメージはとても大きい。
IMFは14日、最新の世界全体の経済成長率の見通しを発表し、ことし、2020年については、3か月前に示した予想のプラス3.3%から、一気に6.3ポイント引き下げてマイナス3%まで落ち込むとしています。
これは、未曽有の危機と呼ばれたリーマンショックの影響を受けた2009年のマイナス0.1%を大きく下回る水準となります。

IMFのギータ・ゴピナート調査局長は「経済の崩壊の規模と速度はかつて経験したことがない。大恐慌以来の不況になる」と述べ、世界全体の経済成長率がマイナス10%程度となった1929年からの世界恐慌以降で最悪になるという認識を示しました。

一方、IMFは来年・2021年の成長率はプラス5.8%に回復するという見通しを示しました。

各国の成長率指標

IMFが発表したことし・2020年の各国の経済成長率の予想です。

《北米・中南米》
▽アメリカ マイナス5.9%
▽カナダ マイナス6.2%
▽ブラジル マイナス5.3%
▽メキシコ マイナス6.6%

《ヨーロッパ》
▽ドイツ マイナス7%
▽フランス マイナス7.2%
▽イタリア マイナス9.1%
▽スペイン マイナス8%
▽イギリス マイナス6.5%
▽ロシア マイナス5.5%

《アジア》
▽日本 マイナス5.2%
▽中国 プラス1.2%
▽インド プラス1.9%
▽ASEAN5(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)マイナス0.6%

《中東》
▽サウジアラビア マイナス2.3%

《アフリカ》
▽ナイジェリア マイナス3.4%
▽南アフリカ マイナス5.8%

新型コロナウイルスの治療薬としてアビガンがありますが、国際特許期限は切れており、中国も米国もジェネリック薬品として製造開始しています。
日本国内は、特許期限がまだあり、富士フィルム社が製造しています。
インフルエンザだけでなく、新型コロナウイルスでも健康保険適用で使用できるよう、一日でも早いリリースが期待されています。
5月後半には一般薬局でも扱えるようになると思われます。
ワクチンは、年末ごろになるだろうと言われていましたが、9月リリース開始ができそうだという情報も入ってきました。

一方で、新型コロナウイルスの変移が出ているようだという情報も出ておりますが、インフルエンザと同じように対応することができれば、緊急事態宣言を出すまでにはならないでしょう。

そこで、経済活動においては、この新型コロナウイルスショックを越えた先に、どのような課題があるのかを考えた事業戦略が必要になります。

◎感染症は、10年に一回の周期で過去やってきている。その波は、大きい小さいはありますが、国境封鎖やロックダウンに至るところまでいくと経済活動、特にサプライチェーンでの調達や物流の問題を抱えてしまいます。

そこで、国内でサプライチェーンをクローズするルートも確保しておくことが重要であるという考えの対象となる産業が明確になってきました。
食料品は地産地消ですが、トイレタリーや医薬品、医療品(マスク、手袋やゴーグル、医療防護服など)。
防衛関連製造業界から一般製造の自動車部品製造や家電製造、半導体製造などは、国やエリアごとに、二社購買、三社購買の少なくとも一社購買取引先は国内で調達できるようなドメスティックサプライチェーンも確保する施策を取っておかなければならない。
グローバル企業にとっては、国内で製造して輸出するだけの戦略を取っていた企業、海外の一か所で製造して世界市場に送り出していた企業などは、サプライチェーンの見直しとして、工場の再配置や物流ルートの再検討をせざる負えない状況にあると気づいている。

◎ゆらぐクラウドのセキュリティ信頼レベル

新型コロナウイルスショックで、緊急事態宣言が出されて、テレワークシステムの利用度が急激に増えたことで、クラウド内の処理が間に合わなくなって、他社のクラウド連携に飛びついたテレワークシステム提供ベンダがいた。その連携した他社のクラウドのセキュリティレベルが低ければ、自社のクラウドのセキュリティレベルは低い方へ下がってしまう。(これはセキュリティの基本)それで、テレワークジャックが起きたり、企業機密情報が漏洩したりして、大問題となってしまった。
米国CISAの脆弱性識別情報に、複数のERPベンダの脆弱性識別情報が警告(Alerts)で公開されている。これに無視行動をしているERPベンダもある。脆弱性通知を受けても膨大なソフトウェアのセキュアコーディングをやり直す気はないと見える。「実際にサイバー攻撃を受けたら対処すれば良い。」という事後処理感覚のようだ。
EUでは、クラウド連携やインターネット利用で起きるデータ保護セキュリティに重きを置いたGAIA-Xという法規制を進めている。

日本政府もCPSセキュリティフレームワークを作ろうという国際的活動を展開している。
特に、スマートシティを実現する上では、複数のクラウド連携は避けて通れないし、そこでは、このデータ保護セキュリティ対策は必須であり、制御システムや装置や機械・ロボットとの連携は、OPC UAやOPC PubSubなどのセキュアな通信プロトコルのCompanion SpecificationとMethodの標準化と相互接続は、必須課題である。