2021年 新年のご挨拶 - VECサロン
2021年 新年のご挨拶
- 皆様、新年あけましておめでとうございます。
VEC会長 山下 善之 - 新年あけましておめでとうございます。
VEC監査 境野 哲 - 2021年年始ご挨拶
VEC事務局長 村上 正志
2021年年始ご挨拶
新年あけましておめでとうございます。
VECも1999年6月に始まり、20.5年間、今に至っております。
VEC事務局長を務めさせていただき、ありがとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
それから、新型コロナ感染が一日も早く治まりますよう祈念しております。
以下、思うところを書かせていただきました。お役に立てれば幸いです。
VEC事務局長/株式会社ICS研究所 村上正志
昨年末に見つけたビデオを例に取り上げて、VEC活動の使命と今後を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
MITのProfessor David Hardtが2020年8月20日に公開された
“What Is Industry 4.0 and How Did We Get Here? with MIT Professor David Hardt”
題目の講演ビデオをYOU TUBEに見つけました。
https://www.youtube.com/watch?v=ttfMEXGdh1s
このビデオでペーパーレスのタブレット導入は、4.0.0.1として紹介されている。
現場から上がってくるデータを使って生産効率やエネルギー効率をダッシュボードで見える化しているのを4.0.1と位置付けて紹介している。
このビデオの18分あたりに、Industry4.0のソリューションが世界中を駆け巡った話の中で、NOT JUST 4.0で、日本のところに、2013年にVECが発表した「Industry4.1J」が出てきます。
2011年にドイツで発表された「Industry4.0」は、
- Interoperability:相互運用性
- Information transparency:情報透明性
- Technical assistance:技術的補助
- Decentralized decisions:分散型決定
の設計原則がベースとなっており、そこには、Big Data分析でCyber Physical System の中で使うことができる6Cシステムを上げると
- Connection(接続): センサーとネットワーク
- Cloud(クラウド): コンピューティングとデータオンデマンド
- Cyber(サイバー): モデル&メモリー
- Content/context(内容/文脈): 意味と相互関係
- Community(コミュニティ): シェアリング&コラボレーション
- Customization(カスタマイズ化) : パーソナライゼーションと価値
になります。
Industry4.1Jは、これにAI活用とCybersecurity対策の重要性と人材育成の必要性を加えたものです。
Professor David Hardt が説明しているIndustry4.0は、2015年頃にまとめ上げたもので9つのテクノロジーが基盤となっています。
- Cloud Computing
- Big Data
- Augment Reality
- System Integration
- Cybersecurity
- Simulation
- Autonomous Robot
- Additive Manufacturing
- Internet of Thing
そして、今、私たちは、この9つの基盤を使っているのだろうか? まだ、実現していないのではないか?
という問いであります。
彼の話の中で、日本の自動車業界の製品開発から生産技術、製造インフラの成長を取り上げて話をしていますが、9つを使い切っている訳ではないという流れで使用しています。
しかし、企業活動におけるManufacturingは、Industry4.0を参考にしますが、9つをどう活用していくかは、企業の事業戦略で決まってくることです。そこには、9つのテクノロジーをどう取り込んでどう活かすかはあっても、すべてを使わなければならない義務はありません。それに、私たちにとって、Industry4.0もIndustry4.1Jも道具なのです。道具を使うのが目的ではありません。何を実現するためにこれらの道具が使えるか?であります。
重要なのは、顧客が実現したいイノベーションにつながることです。顧客が実現したイノベーションが何かを知るのがマーケティングです。そして、そのイノベーションにつながり続けるために行わなければならないのが生産性改善の努力なのです。これらのマーケティングとイノベーションと生産性改善を活動できるようにするのが、企業力であり、マネージメント能力なのです。
マネージメント能力が低下している組織にイノベーションを考えろといっても、何をしたら良いのか解らないまま、思考停止して、こーではないか?あーではないか?の思い付きも、的を得ていないもので終わってしまいます。
そこに、欧米からサプライチェーンでの企業連携を求められていることで、Cybersecurity強化対策とDX(Digital Transformation)推進で業務改革を実施して、企業能力を高める活動が、政府をあげて、取り組んでいるのが今の立ち位置だと思います。このDX推進活動も道具なのです。自社がどのサプライチェーンにつながっていなければならないかも分からずに、ただ、DX推進をすれば自社の経営は安泰か? そんなことはないですね。
DX推進は手段です。手段が目的になってはなりません。業務改革を実施していかないと欧米/中国の企業と競争戦略に勝っていけなくなります。ここで言っている業務改革とは、企業力アップであり、マネージメント能力アップであり、顧客のイノベーションに加わることでありそれを支える役割を担うことでもあります。それによって、顧客のイノベーションとは、顧客のサプライチェーンに加わることでもあります。
これらを実現していくためには、Cybersecurity対策は、必須項目です。ところが、このCybersecurity対策の取り組み認識が今もって日本企業は低いのではないでしょうか? サイバー攻撃は2020年後半から、サーベランスシステムで監視していないメーカーサポートのバックドアを使った攻撃が多くなっています。
既に、制御セキュリティ対策は、制御装置や機械やロボットや搬送機そのものに、セキュリティ機能や性能を装備することが求められています。
2021年6月28日からEUではサイバーセキュリティ法における罰則が始まります。
2022年頃には、制御セキュリティ認証を取得していない製品はほとんど新規採用されなくなるだろうとアナリストは見ています。
IEC62443の更新は、
- 2021年に、IEC62443-2-1の更新予定
- 2022年に、IEC62443-2-4の更新予定
になっております。新型コロナ禍ですので、予定通り発行されるかどうかは分かりませんが、こちらのサイトでご確認願います。
https://www.iec.ch/homepage
話は変わりますが、昨年末日本自動車工業会の豊田会長が「2030年までに再エネを倍増 脱炭素政策パッケージ」について、話をされております。
https://www.youtube.com/watch?v=6zoznlVU0VU
メディアが「ガソリン車をやめてすべてEVにすればよい」という対抗的話をするのはおかしい。今、日本にある400万台すべてをEVにしたら、どのようなエネルギー需要状態(原子力発電10基分追加、火力発電では20炉追加しないと賄えない。急速充電器も600万台必要になるなど)になるか正しく理解して欲しい。日本のエネルギーはどうあったら良いかをみんなで考える必要がある。そして、重要なことは顧客(ユーザー)目線であると思います。とお話されています。
EVのバッテリーもハウスの電力になるという学者もいますが、それは、EVのバッテリーが充電されていることが条件であり、そのEVは充電しなければバッテリーに電力エネルギーは無いのであります。朝出勤時に会社まで移動するに必要な充電エネルギーが必要であり、会社の駐車場では、車の数の分の充電器が必要になります。充電器に送電する電力も必要であり、夜のハウスでのEVへの充電も必要なことです。
車は移動手段であり、移動することでエネルギーを消耗します。それをEVに替えれば環境問題が解決するというのは、思い込みの思考停止ではないでしょうか?
エネルギーが不足するからと言って、原子力発電を増やせば良いという考えは、鵜呑みの思考停止ではないでしょうか?
一つのメリット論が全体のメリット論にすり替わっているのも、思考停止している現象です。
原子力発電のコストがかからないというのは間違いで、数十年もかかる汚染廃棄物の処理の経費や地元への還元投資なども全て含めて計算してみると安くないことは明確です。
それに、日本は地震も活断層も多い国であり、火山も多く、洪水も多い。南海トラフも関東大震災も東北大地震も周期的に来る。
重要なことは、企業活動は、健康と安全と環境を守り、健全な経営をベースに社員と家族を守り、企業内組織活動を活性化し、企業活動をして経済活動の一端を担い、社会構造の一員として納税をして国政を支え、感染症対策を支え、社会貢献をしていることではないでしょうか。
そんな日本にとって、日本社会にとって、何が大切かを考え、どうしていくべきかを考える時代だと思います。
VEC活動は、ユーザー企業が求めるイノベーションを取り上げ、そこに役立つ企業ソリューションにフォーカスを当てて、ユーザーとサプライヤーが話し合える機会を作って、VECの存在価値があると思います。