2019年 新年のご挨拶 - VECサロン

VEC監査 境野 哲

NTTコミュニケーションズ株式会社

  • NTTコミュニケーションズ株式会社 イノベーションセンター/スマートファクトリー推進室/スマートシティ推進室 兼務

2019年 新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆様は今年どのような目標・抱負を立てられたでしょうか。
いま日本は、明治維新から150年が経って、大きな転換点を迎えています。これまでは、農業革命と産業革命がもたらした人口の増加や、植民地の拡大、戦争特需、復興需要、外国需要の増大などにより経済成長を続けてきましたが、今後は、人口が減少して所得も需要も縮小する中で、高齢者や外国人のケア、社会インフラの修繕、セキュリティ対策、気候変動対応、国債償還などのための支出が膨張し、国内経済の成長は望めません。ITによる自動化が進んで生産流通コストが下がると、企業の収益は小さくなるかもしれません。世界経済の中心地は中国やインドに代わり、そうした地域に資本や技術や人材が集まっていきます。日本の製造現場の多くでは、利益率の低下、人材や資金の不足、設備の老朽化といった問題が深刻化し、保護貿易主義の台頭、災害や事故の増加、資源エネルギーの使用制限といった影響も加わって、これまでの事業を継続することが困難になる可能性もあります。

このように産業構造が量的にも質的にも大きく変容する中で私たちが取るべき戦略は、旧来の事業を無理に延命させる短期的な対症療法ではなく、国際情勢や社会ニーズの変化を見越して長期的視点で事業のあり方や仕事のやり方を見直し、生産~流通~提供の方式や、ビジネスモデル、事業形態などをいち早く転換して新しい環境に適応していくことではないかと思います。

VECでは、ユーザー企業とベンダー企業と大学などが協力して、製造エンジニアリングに関わる新しい技術や国際標準、法制度、政策などの動向をリサーチするとともに、IoT、サイバーフィジカルシステム、AIといった技術の活用方法やセキュリティ対策の手法などを学んで検証する研究分科会、セミナー、カンファレンスなどを企画・開催しています。産業社会が直面する未曽有の問題を克服していくためには、このVECのような業種業界を越えた有志による自発的な創意工夫の取り組みが必要であり、今後の更なる活動の展開に期待しているところです。皆様も是非このVECの活動に参加して、人脈を拡げ、知識や経験を蓄え、環境の変化に適応するための技術や事業のアイディアを共に創り、活動領域を広げていってほしいと思います。